心肺蘇生術へ関わる方々へ:学習と維持を促進する実証済みの教育方法を活用

蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善するための教育戦略

心肺蘇生術へ関わる方々へ

2018年、アメリカ心臓協会(AHA)は学術誌"Circulation"に"Resuscitation Education Science: Educational Strategies to Improve Outcomes From Cardiac Arrest.(蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善するための教育戦略)"と題する提言を示しました。

 

世界的に心肺蘇生術教育が盛んに行われるようになったは、心肺蘇生術の国際ガイドライン2000が発表された以降です。

 

それから約20年、心肺蘇生術でどれほどの心停止患者が助かるのか、どうしたらよりよく心停止から生存できるのかなどのデータが集められ、その一部は科学的根拠となり、ガイドラインや心肺蘇生術コースの方法が変化してきました。

 

しかしながら、今回発表された提言の冒頭には、

 

「何百万人もの一般市民と医療従事者が、毎年蘇生術訓練を受けていますが、心停止の患者への最適な臨床ケアの提供には大きなギャップがあります。」

 

と記述され、様々な心肺蘇生術教育が、最終的に心停止患者の生存を改善するというゴールを達成すると想定された理想状態ほどには効果的でないことを認めています。

 

その上で、この改善策として、

 

「心停止患者が優れた蘇生治療を受けることを確実にするため、学習と維持を促進する実証済みの教育方法を活用することによって、蘇生教育の設計と提供は最適化されなければなりません。」

 

と、「学習と維持を促進する実証済みの教育方法を活用」するよう勧めています。

 

私達は、学校で教育を受けた体験に基づいて、観たことのある教育を見よう見まねで実践しますが、その効果が低いことが、この心肺蘇生術教育でも「心停止患者が理想状態ほどには助からない」という事実で示されているのです。

 

そんな心肺蘇生術教育をこれからも続けるのは、むしろ徒労ともいえます。

 

この論文の要旨は既に「ダイジェスト版」として公開され、その日本語版も提供されていますが、私はこの論文を心肺蘇生術に関わる多くの方々が読み込み、ここで推奨される教育方法を実践できるよう願って、この論文全文を翻訳し、その公開許可をAHAより得ることできましたので、ここで公開します。

 

以下のサイトからダウンロード可能です。

 

https://cpr.heart.org/AHAECC/CPRAndECC/ResuscitationScience/UCM_501681_Education-Statement-Highlights.jsp

日本語 論文全訳 (Japanese)(https://bit.ly/2B4xVRW

 

この論文が活用され、患者安全な医療組織が創られるように、皆様のお力添えをお願い申し上げます。

 

尚、この論文翻訳にさいして、鈴木克明さん、大西弘高さん、吉田素文さん、嶋岡鋼さんには多大なご支援を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。

 

全日本患者安全組織文化学習支援財団

代表理事 松本 尚浩