私達の関わる医療が発展しているのと同様に、「安全理論」や「組織理論」も著しい進化を遂げています。
大変驚くべきことに、最近の安全理論「セーフティー2」やこれに関連するレジリエンス工学に基づく「複雑適応系」の理論によると、私達がこれまで努めてきた医療安全の活動には、多大な改善余地があることが判明してきました。
この学習会では、以下の3つの目標について、学習会を行います。
1)セーフティー2の概略を説明できる
2)セーフティー2に基づく実践例を考案できる。
3)セーフティー2に基づく実践計画を立案できる。
これまでの、「非難の文化」に基づく、「事故をなくす」取り組みから、効果的な安全方略への第一歩を踏み出してみませんか?
発起人:川渕 洋志(医療法人須崎会高陵病院)
喜井なおみ(三豊総合病院)
教材開発担当:岡本華枝(岐阜聖徳学園大学)
【日時】3月3日(日)9時30分~15時
【場所】高知医療センター 研修室
【参加費】3000円
【定員】24名
【講師】松本 尚浩
医)尚誠会 笑顔のおうちクリニック松戸 理事長
全日本患者安全組織文化学習支援財団 代表理事
ご参加を希望のかたは、下記のフォームにご入力のうえ、送信してください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
2018年、アメリカ心臓協会(AHA)は学術誌"Circulation"に"Resuscitation Education Science: Educational Strategies to Improve Outcomes From Cardiac Arrest.(蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善するための教育戦略)"と題する提言を示しました。
世界的に心肺蘇生術教育が盛んに行われるようになったは、心肺蘇生術の国際ガイドライン2000が発表された以降です。
それから約20年、心肺蘇生術でどれほどの心停止患者が助かるのか、どうしたらよりよく心停止から生存できるのかなどのデータが集められ、その一部は科学的根拠となり、ガイドラインや心肺蘇生術コースの方法が変化してきました。
しかしながら、今回発表された提言の冒頭には、
「何百万人もの一般市民と医療従事者が、毎年蘇生術訓練を受けていますが、心停止の患者への最適な臨床ケアの提供には大きなギャップがあります。」
と記述され、様々な心肺蘇生術教育が、最終的に心停止患者の生存を改善するというゴールを達成すると想定された理想状態ほどには効果的でないことを認めています。
その上で、この改善策として、
「心停止患者が優れた蘇生治療を受けることを確実にするため、学習と維持を促進する実証済みの教育方法を活用することによって、蘇生教育の設計と提供は最適化されなければなりません。」
と、「学習と維持を促進する実証済みの教育方法を活用」するよう勧めています。
私達は、学校で教育を受けた体験に基づいて、観たことのある教育を見よう見まねで実践しますが、その効果が低いことが、この心肺蘇生術教育でも「心停止患者が理想状態ほどには助からない」という事実で示されているのです。
そんな心肺蘇生術教育をこれからも続けるのは、むしろ徒労ともいえます。
さらには、心肺蘇生術の他の領域で行われている、教育・訓練も「教育・訓練の成果として、患者の転帰は改善しているのか?医療者の現場でのパフォーマンスは改善しているのか?」を改めて問いなおす時期が訪れたことを、今回のAHA提言は示していないでしょうか?
このシンポジウムでは、「学習と維持を促進する実証済みの教育方法」の一例として、この論文で示されている「インストラクショナル・デザイン」の観点から、インストラクショナル・デザインを医療教育に応用して、どのような改善が得られるかを示しながら、聴衆の現場での教育実践を改善する契機を目指しています。
シンポジウムでは、登壇者にAmy Dearsleyさんをお招きします。
通訳付きで心肺蘇生教育の改善についてお話していただく予定です。
心肺蘇生術教育のみならず、医療での教育に関わる方々のご参加をお待ちしております。
『心肺蘇生術教育AHA提言を読み解く』発起人
西知多総合病院 畔柳信吾
岐阜聖徳学園大学 岡本華枝
企画者
患者安全組織文化学習支援財団
代表理事 松本 尚浩
【日時】2019年6月15日 土曜日 10:00~16:00
【場所】東建ホール(名古屋市丸の内二丁目1-33)
【参加費】無料
【定員】300名
ご参加を希望のかたは、下記のフォームにご入力のうえ、送信してください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
1999年、合衆国での医療過誤による死亡が9万人弱発生と推測されると報告され、世界に衝撃が走り、2016年には合衆国での死亡原因の第3位は医療過誤で25万人の死亡者数とされています。
今世紀の医療者の課題は、患者安全であると様々な世界の医学学会、そして世界保健機関(WHO)も明示しています。
そして、世界の各地域では、医学会・市民団体を中心として、患者安全活動が進められています。
患者安全の重要性については、フェイスブック(https://goo.gl/r2BeBF)ご参照下さい。
日本政府は2015年から医療事故調査制度を開始して、医療安全を改善しようとしていますが、その成果は未だに明らかではありません。
私は、2015年3月に患者安全組織文化学習支援財団を設立し、患者安全活動を実践していますが、この活動は実際には医療機関での受け入れは良好ではありません。
この状況を考察するに、医療者にとって、患者安全への取組は、医療過誤当事者や関係者の過ちを暴露され、その修正やときに組織外への公開を迫られる辛い事象であり、積極的な活動には至りにくい性質があると私は見極めました。
人も組織もその失敗をさらけ出して、変化すること対して強い抵抗、いわゆる変化への免疫(imunity to change)があり、失敗改善は非常に難しいことがよく知られています(参照:『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流
自己変革の理論と実践』(英治出版))。
しかし、その一方で、発達心理学の知見に基づき、人や組織が発達しながら変化する方略は明らかになってきました(参照『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる』(英治出版))。
また、最近の安全理論の進歩から、かつての事故がないことが安全とする定義に基づく安全活動よりも、良いパフォーマンスを増やして安全を促進する理論展開も始まってます(参照『Safety‐1
& Safety‐2―安全マネジメントの過去と未来』(海文堂出版))。
従って、いわゆる事故減らしではなく、医療者がこれらの知見を応用しながら、人として成長・発展しながら、患者安全を促進出来る可能性は高いと、私は考えています。
また、最近のテクノロジーの進歩により、雇用の未来は現状と大きく異なることが予想されており、医療者の業務の変化も推測されます。医療での活躍の場が制限される医療者が発生してもおかしくない状況変化を医療者が乗り越える必要があります。
医療職は元来、とても安定した資格をもつ職種のため、転職するなどという発想は持ち得ないほどの職業観を持っていますが、この安定した資格が揺らぐ時代が訪れます。
そのときに、改めて、自分の才能を見いだし、その才能を開花させ、幸せに生きるためには、今から準備しても早すぎることはないと、私は考えます。
上述の患者安全活動と、テクノロジー進化に伴う医療職の不安定さへの鍵として共通するのは、医療職の皆さんの能力開発といえます。
私は患者安全財団の活動をつうじて、患者安全に限らず、医療に関わる方々の医療に留まらない発展を支援する活動に取り組みたいと考えております。
具体的には、上記の書籍に示された、個人及び組織の発展支援のためのツールを用いながら、その個人や組織の変化を見守り、将来、患者安全での改善や、その医療者個人の発展を確認する活動を行う計画を立案しています。
患者安全組織文化学習支援財団
代表理事 松本 尚浩
ご参加を希望のかたは、下記のフォームにご入力のうえ、送信してください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
尚、患者安全と医療者の能力開発に関するプレゼンテーションとして、以下ご参照ください。
【日時】2018年3月24日 土曜日 14:00~17:00
【場所】東京都千代田区丸の内1-9-2 (株)リクルートキャリア内
【参加費】無料
【主催】(株)リクルートキャリア
【共催】全日本患者安全組織文化学習支援財団、(株)プラメド
【シンポジスト・ワークショップファシリテータ】
田澤雄基 (MIZENクリニック豊洲)
松本尚浩 (医療法人尚誠会笑顔のおうちクリニック松戸)
増間大樹 (㈱リクルートキャリア・マネジャー)
日時:2016年11月12日 土曜日 14:00-17:00(13:30受付開始)
場所:東京慈恵会医科大学本館西講堂(東京都港区西新橋 3-25-8)
参加費:1000円
1.開会の辞:杉浦立尚(笑顔のおうちクリニック代表)
2. 発表(座長:杉浦立尚(笑顔のおうちクリニック代表))(14:00-15:00)
1) 全日本患者安全組織文化学習支援財団(全患安)のこの1年、報告:松本尚浩 (全患安代表理事)
2) 「薬の飲み忘れと患者安全への取り組み」、講師:吉永和貴(株式会社フリクシー・代表取締役、常楽診療所・在宅診療医)
3) 患者の立場からの患者安全(仮題) 講師:阿部桂(特別養護老人ホーム秋桜 副施設長)
3. 鼎談:患者安全への患者参加(15:10-15:50)
永井裕之(医療の良心を守る市民の会)
米倉良智(ソウ・コミュニケーション株式会社 代表取締役)
松本尚浩(全日本患者安全組織文化学習支援財団 代表理事)
4. 講演:(座長:松本尚浩(全日本患者安全組織文化学習支援財団 代表理事))(16:00-17:00)
「もっと患者さんに安全な社会を目指して」
講師:武田聡(東京慈恵会医科大学 救急医学講座 教授)
5.閉会の辞:松本尚浩
ご参加を希望のかたは、下記のフォームにご入力のうえ、送信してください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
皆様方に於かれましては、御健勝のこととお慶び申し上げます。
この度2015 年3 月に念願であった「全日本患者安全組織文化学習支援財団」を
関係各医療機関の皆様方をはじめ大変多くの方のご助力の下に設立することができました。
組織文化の醸成や学習支援などの方略で医療機関の患者安全をお手伝いする意図で団体名を命名させて頂きましたが、
より多くの医療に関わる方々が患者安全を意欲的に学ぶことができ、
より多くの患者様が安全な医療を受けられることを目指し尽力して参る所存です。
立ち上がって間もない財団ではございますが、今後とも皆様のご支援、ご指導の程何卒よろしくお願い申し上げます。
全日本患者安全組織文化学習支援財団 理事長 松本尚浩
平成27 年10 月11 日(日)13:20 開場 14:00 開演(17:00 閉会)
於:名古屋国際会議場 名古屋市熱田区熱田西町1 番1 号
入場料:1,000 円(第1回特別料金)
親睦会:5,000円 (18:30~ 於:名古屋マリオットホテル)
(座長:福元博樹 笑顔のおうちクリニック事務長)
演題1:患者安全の向上のために薬剤師がしてること・できること
演者:東城秀和(クオール株式会社クオールぎなん・薬局長)
演題2:医療機器メーカとしての患者安全に対する取り組み
演者:近藤俊雄
( 日本光電工業株式会社品質管理統括部安全管理部・医療機器安全管理実施責任者)
演題3:『笑顔のおうち朝大学』活動の 成果とこれからについて
演者:渡部竜成(笑顔のおうちクリニック船橋・院長)、三菅知久(笑顔のおうちクリニック松戸・スマイルコンシェルジュ)
(座長:松本尚浩)
シンポジスト1:大学・大学病院における患者安全を目指した振り返り学習支援者養成の試み
三好雅之(鳥取大学医学部総合医学教育センター・特命助教)
シンポジスト2:学びによって達成できる民間病院の患者安全ー老健通所急変トレーニングの実践例
岩永康之(社会医療法人緑泉会米盛病院・麻酔科部長・学習システム室室長)
(座長:杉浦立尚(笑顔のおうちクリニック・代表))
演題:全日本患者安全組織文化学習支援財団の活動計画
演者:松本尚浩(全患安 笑顔のおうちクリニック松戸・院長)
( 座長:杉本壽・全患安理事)
演題:医療有害事象発生時の医療側の対応について
講師:伊藤雅治(全国訪問看護事業協会・会長)
特別講演 講師:伊藤雅治(全国訪問看護事業協会・会長)