事業計画

全日本患者安全組織文化学習支援財団事業計画概要

【短期事業計画】

1-1)患者安全のための医療者学習支援

 

主に医療学生、そして医療従事者・医療教育関係者のために、安価でオンラインで患者安全を学べる場を提供します。

既に試行的に、インターネットで「チャットワーク(chatwork, http://www.chatwork.com/ja/)」を用いて、WHO患者安全カリキュラムガイドを基盤とした「医療学生のための患者安全塾」、そして、国際的な指導者技能の記述「ibstpi instructor competencies (インストラクター・コンピテンシー)」を基盤とした「患者安全組織創りのための学習支援者養成」を開始して、オンライン学習環境を提供しています。利用者はチャットワークを無料アカウントで利用すれば、月額500円(税込)でこれらの学習支援を受けることができます。今後、「患者安全のためのIT応用(仮題)」、「患者安全のための振り返り学習技能(仮題)」など様々な内容を提供する予定です。

 

 

1-2)患者安全情報提供

 

患者安全のための組織作り、患者安全改善方略、教育訓練などについて、15分から45分程度のビデオ学習教材を提供する予定です。それぞれのビデオには、ビデオ内容に基づくクイズを併せて提供し、その正解で学習の到達を確認するラーニング・マネージメント・システム(LMS)を利用して、教材利用者の患者安全学習を促進します。個人では月額9800円(税込)、施設では年間所定費用(仮設定価格)でご利用可能です。ビデオ内容は、当財団のウエブページ(開設予定)で閲覧可能です。医療教育機関・医療機関の患者安全・医療安全カリキュラム設計指針にご利用頂ければ、その施設での教育・訓練支援につながります。

 

 

1-3)年次総会

 

年に1回、患者安全領域での発展、今後の展開などについて最新の状況を反映する内容の講演・シンポジウムなどを開催します。これらの内容は、オンライン配信する教材としても応用され、全国での患者安全活動促進のために継続的ご利用可能です。


 

【中期事業計画】

2-1)患者安全指数開発

 

私たちは、医療機関での患者安全促進の基盤として、医療現場の現状データを収集し解析する患者安全指数(PSI: Patient Safety Index )を開発します。PSIは医療現場で得たデータを収集し分析します。既に国外では類似の指数があり、これらを応用し、国内の医療・医事に適合する指数開発を専門家と共に進めます。この指数を医療機関で利用して頂き、指数変化を観察しながら、その医療機関独自の患者安全の改善策の立案実施支援も実施します。

 

 

2-2)患者安全医療者コンピテンシー開発

 

コンピテンシーとは、その組織での優れた実績を達成する組織人の在り方の記述で、いわば組織での「出来る組織人はこんなことを知っていて・出来て・選べる」という状態の具体的な記述です。国際的には経済協力開発機構(OECD)が社会組織人の基盤としてキー・コンピテンシーの概念を発表しています。このコンピテンシーを箇条書きしたリストは大まかに、患者安全な医療者として、

 1)○○が分かる、2)○○が出来る、3)◎◎と▲▲から適切な方を選べる

などのリストになります。このコンピテンシーを応用すると、

 

 1)医療従事者の患者安全知識・技能・態度などを評価できる

 2)医療従事者の患者安全知識・技能・態度などに応じた教育・訓練を提供できる

 3)医療従事者の患者安全知識・技能・態度などに応じた雇用・人材配置ができる

 

などが容易になります。

 

患者安全財団では、医療組織での質の高い患者安全な振る舞いが出来る医療従事者の在り方を記述した「患者安全医療者コンピテンシー」の基盤を開発公開し、各医療施設その現場での医療業務内容に応じた「あなたの医療機関での患者安全医療者コンピテンシー」作製を支援しながら、各医療機関での患者安全促進を支援します。

 

 

2-3)患者安全研究促進

 

上記のような患者安全指数や患者安全医療者コンピテンシーをはじめ、様々な領域での患者安全促進には、新たな領域として患者安全学の発展が必要であり、研究活動の活発化が求められます。患者安全財団では患者安全学の研究支援センターとして機能するために、患者安全研究倫理委員会を設立し、国内外の研究者を養成・支援しながら、患者安全学を発展させ、患者安全な医療実践の基盤を創ります。


 

【長期事業計画】

3-1)患者安全医療者育成

 

現在の医療者の選抜は、義務教育後の入学試験での科目筆記試験、そして国家試験での筆記試験で実施されています。これらの科目試験での成績と、患者安全な医療実践能力との相関が高いかどうかは不明です。一方、航空業界をはじめとする「安全優先業界」では、1970年代の航空機事故原因分析で明らかになった安全技能として「ノンテクニカル・スキル(Non-technical Skills: NTS)」の概念を発展させ、その訓練を実施して、この業界での従事者の安全技能を高めてきました。このNTSは一般的に、認知技能(状況認識、意思決定など)、社会的技能(コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップなど)、そして人材技能(ストレス管理、疲労管理など)とされ、航空業界などでは、従業員のNTS訓練を実施し、原子力産業ではその能力が資格認定に関わるとされています。現存の医療従事者選抜システムでは、これらのNTS修得程度や教育訓練がないので、中学生や高校生から医療従事者を目指す学生でNTS能力に優れた学生を医療教育機関へ推薦して入学試験での優遇や国家試験合格支援を行いながら、新たな患者安全医療者育成の選抜システムを提言します。

 

 

3-2)患者安全システム国際貢献

 

上述した患者安全推進の仕組みは、日本語での情報と並行して英語や中国語での情報としても国際的に発信します。患者安全財団で開発した患者安全組織創り・人材育成のシステムは、将来国外でも応用可能な様式で展開し、患者安全領域での国際貢献を目指します。

 


3-3)患者安全と業務効率向上を両立するITシステムの提供

 

従来患者安全システムの向上は投入する資源の必要度から、業務効率・経営効率の低下は避けられないと認識されています。しかし、我々は、全て医療情報を細分化し①患者安全に関わるものとそうでないものに分類し、②分類された情報を必要なものは保存し、必須のものは通知で伝えることにより情報過多を回避し適切な業務行動に結びつけ、③リアルタイムに情報の完成度をモニタリングします。この3点により新しい患者安全のパラダイムを確立し、遍く医療界の発展に貢献します。